今回のお話の主人公Aさんは、52歳で真面目で控えめな男性です。
身長は約170cmで体型は中肉中背です。
彼は黒縁のプラスチック製眼鏡をかけており、清潔に洗われたポロシャツを着ています。
髪も整えられており、まさにしっかり者の姿をしています。
彼は「結婚23年間、妻のことは疑ったことがなかったんですけれど」という難しい表情を浮かべながら、声を絞り出して語りました。
まずは、2歳年下の妻との出会いについてお聞きしました。
彼の妻は、Aさんの上司からの紹介で知り合った方だそうです。
当時、Aさんの勤める会社では、「男性は結婚して一人前」という風潮があり、独身男性に対して女性を積極的に紹介する文化がありました。
今ではセクシャルハラスメントとなってしまうかもしれませんが、当時の会社ではそれが一般的でした。
Aさんの勤める会社は鉄鋼関連の大企業で、男性社員が圧倒的に多く、規模も非常に大きいそうです。
上司は部下に女性を紹介し、仲人役を務めることもありました。当時を振り返ってAさんは「上司に紹介されると断ることができなかったです。現在は女性社員も増え、そのような文化はなくなりました。
しかし、私たちの世代が結婚できたのは、社会的な圧力からですね。
また、会社も結婚した人に対して特典を提供していました。結婚後の最初の5年間はほとんど家賃がかからない社宅に住まわせてもらえましたし、結婚に関連する特別休暇や結婚祝いもありました」と振り返りました。
Aさんは、そういった配慮がなければ結婚しなかったと考えています。
彼自身、女性との関わりが苦手で、ほとんど恋愛経験もなく、結婚まで女性との経験がありませんでした。
結婚後も彼は妻以外の女性を知りませんでした。
そのため、今回の疑惑は彼にとって衝撃的であり、傷つくものであると感じています。
妻についてお聞きすると、彼女は看護師だと言います。ただし、具体的には、看護学校を卒業後、彼女はAさんの所属するグループ会社の医務室で働いていたとのことです。
看護師は、医療機関で働く人だけでなく、産業看護師として企業で社員の健康管理や健康診断の管理をする仕事もあります。
私の上司は、どこかで妻と知り合い、私と結婚させようと考えたようです。
彼女は会社の内部の文化を知っているし、私に合うだろうと思ったのでしょう。
私たちは結婚しましたが、その頃には妻も私も退職する予定はありませんでした。
Aさん夫妻は結婚して間もなく長男を授かりました。その子は父に似て非常に勉強ができており、私立大学の理工学部に通っています。
私のグループは子育てに対しても支援があり、大きなストレスなく子供を育てることができました。夫婦関係もそれほど悪くないと思っていました。今でも一緒に寝ており、夫婦関係もしっかりとしています。
ただ、コロナ禍の影響で変化がありました。
私のグループは社員の出社を禁止し、医務室も整理されました。
妻は契約社員として雇われていましたが、退職金を受け取って会社を辞めることになりました。
妻は社交的な性格なので仕事が好きなんです。とは言え、長年働いてきたため、2020年から1年間は休んでいましたが、東京オリンピックが終わった辺りから就職活動を始めました。
しかし、どの医療機関も彼女を受け入れることはありませんでした。
彼女は医療の実務経験がなかったため、即戦力にはなれなかったのです。
「すぐに来てください」という申し出は幾つかあったものの、妻は常に会社の医務室にいて、9時から17時まで社員の健康管理をしていただけでした。
そのため、医療現場での行動が遅くなり、呼吸や動きを把握できず、医療の専門用語も理解できず、先の行動が読めなかったため、相当いじめられ、半年ほどで退職しました。
妻は以前の医務室勤務より給料が下がりながら、医療現場は何十倍もハードであったようです。
それで、妻は夜勤専従の医療スタッフとして派遣会社に登録しました。常に人手不足であり、給料も高いですと彼は言います。
Aさん
「仕事については詳しくは聞いていませんが、以前と比べて妻は活気があり、働きにやる気を感じます。昼に家を出て、夜9時に帰ってくるというルーティンができたそうです。しかし、時には週に4日しか帰らないこともあるそうです。それは、私たちにとってはすれ違いの生活で寂しいですが、私も息子も自分のことは自分でやるので特に不便はありません。むしろ、妻が暗い顔をして家にいるよりも、楽しく働いている姿を見ることができる方がいいと思ったんです」
ところが、約3ヵ月前に息子から「お母さんを渋谷で見た」と言われたそうです。
「息子は私とは違って女性にモテるタイプで、渋谷のラブホテル街に行ったら、偶然妻を見かけたと言うのです。さらに、息子は細かいところにもよく気がつく子です。
ある時、彼は『お父さん、これさ、お母さんが出てきたラブホにあるヘアゴムだよ』と、5cm角の白いビニール袋に入ったヘアゴムを持ってきたんです」
妻はとても節約家で、外出先で無料のものをよく持ち帰る癖があるそうです。
だから、シャワーキャップや割りばしのような使う予定のないものが家にたくさんあるのも納得です。
妻はショートヘアなのに、ヘアゴムを持ち帰ってリビングに置いたのでしょう。
その上、妻の外見も大変変わったそうです。「驚くほどセクシーな下着を見かけることもあり、私が求めても断られることが増えました」とのこと。
妻は浮気をしているのではないかと思います。私は妻とどうしたいのかを尋ねました。「相手を知りたいし、妻と別れさせたいです。妻と相手が手のひらを返すかもしれないので、証拠が必要です」と言っていました。
週に4日の夜勤であれば、1日ずつ浮気をしていても気付かないのは当然のことです。息子さんがラブホテル街で母を見かけてしまった浮気の状況は一体どうなのでしょうか?
この家族は現状をどのように改善していくのでしょうか?